MMSとは、移動体に各種の計測機器を組み合わせて搭載し、地形・地物等を移動しながら計測を行い各種データを取得します。車両の場合は、基本的にGNSS 測量機、IMU、走行距離計(DMI)、レーザ測距装置、デジタルカメラ、で構成されるシステムで構成されています。このような技術は、1980 年代後半に路面性状調査(舗装の劣化状況調査)を目的とした業務で初めて実用化されました。2000 年代になると位置精度や画質にこだわらないでWeb 上で道路からの景観を掲示するサービスが開始され、計測機器の小型化、高精度化により2009 年には測量会社がデジタル地図作成への実用化を開始しました。近年では自転車型、背負型、台車型など車両以外の移動体への搭載が進められております。
MMSによる測量では、トンネルやビルの谷間、山間部などでGNSS 衛星からのデータ取得が困難となりますが、IMU、DMI、現地基準点等を使用することで車両の位置と姿勢を高精度に計測することができます。その車両の位置姿勢データを使用して、デジタルカメラやレーザデータに写っている建物や道路について位置や高さ、3次元座標(X,Y,Z)を計測することが可能となります。
本技術の利用事例としては、道路沿道画像データ取得、道路台帳数値図化、路面性状調査、屋外広告物調査、避難路沿道建物調査などがあります。道路内の計測だけでなく、道路沿道の調査にも多く利用されています。
参考文献
・移動計測車両による測量システムを用いる数値地形図データ作成マニュアル素案 国土交通省国土地理院
(2015年11月16日 初稿)