ここでは空中三角測量によるステレオ図化の方法を対象に解説をします。図化は、2枚の空中写真を3次元表示装置(以後、図化機)で立体視して3次元座標を計測することにより行われます。図化では、図化機で3次元座標を計測するとともに空中写真より計測対象となる地形や地物が何であるかを判読します。このため、図化の作業者には3次元座標の正確な計測技術と地形や地物の的確な判読技術が求められます。また図化機で判読できない地物は、現地を歩いて目視による調査をおこなって補う必要があります。
図化は、空中写真より様々な地物や地形を抽象化して地図に表現します(地図記号で表現します)。地図に表現する地物や地形の記号は、国土地理院が定めた標準図式に従うのが一般的です。図化は、国土地理院が定めた作業規程で作業する基準が設けられていますので、写真で見えるものを全て地図にするのではなく、標準図式に従って作業者が地物の取捨選択を行って地図に反映させます。
図化はほとんどの場合、作業者が地物や地形を一つずつ計測するためとても時間がかかる作業です。最近は自動処理技術により標高データを取得し、それから等高線を自動的に生成する場合もありますが、図化を完全に自動化することは不可能です。このため、手動による作業が必要となり、地図を作成する工程では最も時間のかかる作業になります。
(2015年11月18日 初稿)