空中三角測量

空中写真測量では60%重複した1対の空中写真から生成したステレオモデルを立体的に観測することで地図を作成します。その際に空中写真の撮影位置と撮影方向が必要となります。撮影位置と撮影方向を求めるには写真ごとに平面位置と標高が判明している3点の地上基準点が必要です。地図の作成範囲が狭く写真枚数が少ない場合は必要な地上基準点を現地で計測できますが、写真が何百枚となると必要な地上基準点を全て現地で計測することは現実的ではありません。ところが、複数の空中写真の重複部を連結したブロックを作成し、これを大きな一枚の空中写真と考えることで、地上基準点を減らすことが可能となります。このような処理を数学的に行い全ての空中写真の撮影位置と撮影方向を求める作業を(解析)空中三角測量といいます。

空中三角測量は2つの工程からなります。まず地上基準点および写真の重複部分を結合するための仮想的な点であるパスポイントの写真上の位置(写真座標)を測定します。次にこれらの点の写真座標と地上基準点の地上座標から空中写真の撮影位置と撮影方向を算出します。この計算処理は調整計算と呼ばれ、光線は直進するという原理(共線条件という)に基づく方程式を解くバンドル調整法が主に使用されています。

以前は航空アナログカメラで撮影されたアナログフィルムを使用していたため写真座標の精密な計測装置や熟練技術が必要で時間もかかりましたが、近年航空デジタルカメラで撮影されたデジタル画像が用いられるようになったため全ての工程を一般のPCで処理することが可能となりました。PCの処理速度の向上に伴い作業効率は飛躍的に向上し、現在では広範囲撮影についても手軽に処理できるようになっています。

(2019年05月08日 更新)
(2015年01月20日 初稿)

English

Aerial Triangulation

定義

空中三角測量とは、空中写真から地図を作成するために、光線は直進するという原理(共線条件という)を用いて、少ない地上基準点で同時に多数の空中写真の撮影位置と撮影方向を計算により求める技術です。