空中写真測量で使用されてきた航空アナログカメラを代替するデジタルカメラです。通常、航空機下部に下向きに設置され、飛行しながら地上の様子をデジタルデータとして記録します。一般向けデジタルカメラは1990年代から普及しましたが、空中写真測量で使用するためには大型の撮像素子が必要であったため、航空デジタルカメラの本格的な登場は21世紀になってからです。
航空デジタルカメラにはエリアセンサとラインセンサの2種類があります。前者は,航空アナログカメラのフィルムをエリアセンサに置き換えようとしたものです。インタグラフ社のDMCシリーズやマイクロソフト社のUltraCamシリーズがその代表です。初期のカメラでは、十分大きな撮像素子が利用できなかったため、1台のカメラの筐体の中にレンズと撮像素子のセットを複数配置し、画像合成技術により、航空アナログカメラと同等の撮影範囲を確保していました。一方、後者の代表的なカメラには、ライカジオシステムズ社のADSシリーズがあります。このカメラは、前方、直下、後方の3方向を撮影するラインセンサを並べたもので、飛行しながら帯状にデジタルデータを取得していきます。
1つの筐体内に、青、緑、赤、近赤外のデータを取得するセンサを配置することにより、可視域から近赤外域までのデータを同時に取得することが可能となり、土地利用判読や植生調査をより高精度に行うことができるようになるなど、活躍の場が広がっています。また筐体内に複数のカメラを多方向に配置した多方向カメラやカメラを左右に振りながら広範囲の画像を取得するムービングカメラが登場するなど、多様化も進んでいます。
(2015年01月26日 初稿)