図化機は、空中三角測量などの標定により求められた撮影時の位置や姿勢を用いて2枚のステレオ写真を立体視できるようにし、この立体像を見ながら地図を描画する装置です。立体視野内にメスマークと呼ばれる点が見えます。このメスマークを地物の立体像に沿ってなぞるように、ハンドルを操作することにより、地物の3次元データを取得することができます。
写真測量は、対象物から出た光がレンズ中心を通りフイルム面に結像するとき、対象物とレンズ中心およびフイルム面上の像が同一直線上になければならないという共線条件式を基本としています。また図化機はイタリアのポロとドイツのコッペにより同時期に発見されたポロ・コッペの原理に基づいています。この原理は、「レンズを通過する光線の経路について、それと逆方向から来た光線はまったく同じ経路をたどってもと来た方向に出ていく」というものです。この原理から、撮影時に用いたレンズをそのまま図化機のレンズとして用いれば,歪みのあるレンズを用いても撮影時の幾何関係が正しく再現されることが保証されます。
図化機の歴史は古く、写真測量の草創期から地図作成に用いられてきました。アナログ写真を使用し、光学的あるいは光学・機械的に図化を行うアナログ図化機のほとんどはスイス製(Wild社)かドイツ製(Zeiss社)でした。1970年代になり、アナログ写真を用いますが、コンピュータ制御された解析図化機が開発されました。その後、デジタル画像が利用されるようになると、デジタル図化機が用いられるようになりました。これは、3次元表示装置を装備したパーソナルコンピュータです。
(2015年11月18日 初稿)