地形図には、地形や地物などの有形物、地名や行政界などの無形物が、縮尺に応じて正確詳細に表示されています。地形図の表現は、投影法、記号等に関することを含め、個々の地形図の目的や縮尺に応じて定められる図式と呼ばれる規則に従っています。
地形は、等高線で表現するのが原則ですが、崖や大きな岩のあるところなどでは、特有の記号を用いて表現することもあります。建物などの人工構造物は、原則として上方から見たときの正射影を表現しますが、微少なものや特殊なものは記号化することもあります。植生や土地利用などは、その分布範囲に記号を表示するのが原則です。地中や橋の下にある構造物などの上空から見えないものは、原則表示しませんが、必要に応じて破線を用いるなど上空から見えるものと区別して表示することもあります。
測量の誤差や地形図表現上の便宜から、幾何学的条件に従った本来あるべき位置から若干ずれて表示されていたり、示されている標高値が若干違っていたりすることがあります。これらの誤差の許容限度を地形図の精度と称しています。
地形図には、現地における測量の成果として作成された実測図と、既成の地図に手を加えて新たに作り出された編集図があります。国土地理院が刊行している2万5千分1地形図は実測図であり、5万分1地形図は2万5千分1地形図から作成された編集図です。
わが国の国土全域をカバーする最も詳細な地形図は、国土地理院の2万5千分1地形図で、全部で4,420面あります。2万5千分1地形図は、国土の利用、開発、保全や地域振興の基礎資料として、あるいは教育やレクリエーションなどで幅広く利用されています。また地形図は主題図の基図としても用いられています。
(2015年11月18日 初稿)