測距

測量において距離といえば、一般に水平距離を指します。
しかし、測距する2点間に高低差がある場合は、通常斜距離を測定し、水平距離に換算します。
また、測距のほとんどの方法で、誤差が測定距離に比例するため、測距の精度は相対精度で表すのが一般的です。

[用語の定義]に挙げたように、測距には多くの方法がありますが、現在よく使われる方法としては、①歩測、③布巻尺による測定、⑤光波測距儀による測定、⑥GNSSによる測定などがあります。

①歩測は、測定者が一定の歩幅で歩いたときの歩数から距離を求める最も簡便な測距の方法です。
歩測でも、1/100~1/200の精度で測距することができます。

③現在測距に用いられている布巻尺は、長さ30~100mの合成樹脂(エスロン)製の巻尺で、その測距精度は1/1,000~1/5,000です。安価な装置で簡便に短距離を比較的高い精度で測定することができます。

⑤光波測距儀が出てくるまで、1/100,000~1/1,000,000の高精度で測距を行うには、熱膨張率のきわめて小さいニッケルと銅の合金でつくられたインバール尺を用いていましたが、起伏の多い長い距離を正確に測定することは大変困難なことでした。
光レーダ法の位相差法で測距を行う光波測距儀が出現したことにより、測距が画期的に容易になりました。
光波測距儀を用いると、10km以下の距離を(2mm+2ppm×D)程度の精度で測定することができます。
ここで、Dは測定距離を、ppmはparts per millionの略で100万分の1を表しています。

⑥GNSSのスタティック法による測距では、光波測距儀より長距離を(3mm+0.5ppm×D)程度の精度で測定することができます。
また、距離を測定する2点間の視通が必要ないこともGNSSによる測距の特長です。

(2015年11月18日 初稿)

English

Distance measurement

定義

測距とは、距離を測定することを指します。距離の測定を主目的とする測定器械を測距儀といいます。測距には、①歩測、②距離計による測定、③布巻尺による測定、④鋼巻尺による測定、⑤光波測距儀による測定、⑥GNSSによる測定、⑦VLBIによる測定などがあります。現在、任意の2点間の距離を最も高精度で測定しようとしたとき、相対精度1/1,000,000程度を得ることができます。