隣接する写真や画像を接合するモザイクは、写真測量の分野では、すでに20世紀初頭にアナログ手法によりモザイク写真が作成されています。リモートセンシングの分野においても、1966年~1967年に打ち上げられたLunar Orbiter 1 - 5によって撮影された画像からデジタル手法により月のモザイク画像が作成されています。また、1970年代より地球観測衛星画像のモザイク画像も作成され、解析に利用されてきました。空中や宇宙から撮影された写真や画像ばかりでなく、地上で撮影された画像のモザイク画像も作成されています。1箇所の撮影地点から異なる方向にカメラをむけて周囲の風景を撮影した複数の画像を接合して作成されるパノラマ画像などがその例です。
モザイクは、接合対象となる写真や画像に対して加える幾何学的な前処理の違いによって、以下の3つの方法があります。
① 写真や画像の縮尺や解像度をほぼ同じにするだけで、カメラの傾きによる歪みや対象物の形状による歪みを補正しないもので、作成された写真は略集成写真と呼ばれます。
② カメラの傾きによる歪みの補正(偏歪修正といいます)は行いますが、対象物の形状による歪みは補正しないもので、作成された写真は厳密集成写真と呼ばれます。
③ カメラの傾きによる歪みや対象物の形状による歪みを補正したオルソフォトを作成した後、接合を行うもので、作成された写真(画像)はオルソモザイク写真(画像)と呼ばれます。
近年ではデジタル航空写真の登場やデジタル画像処理技術の進歩により、容易にオルソモザイク画像を作成することができます。
(2015年11月18日 初稿)