航空写真や衛星画像(以下では、「航空写真等」といいます)は被写体で反射された光がレンズ中心を直進して投影された中心投影画像であり、地形の高低差の影響を受けて高いところほど写真中心から外側に倒れこむように写り込みます。航空写真等では、距離や角度が写真上で一定ではないので、正射投影像である地図と正確に重ね合わせることができません(下図の左)。
オルソフォトとは、航空写真等に標高データを与えて高低差による歪みを除去し、地図と同じ正射投影に変換した画像です(下図の右)。オルソフォト作成に用いる標高データにはDEMやDSMがあります。DEMの代表例は国土地理院発行の「数値標高モデル(5mメッシュ及び10mメッシュ(標高)」です。なお、既存のDEMに加えて、傾斜が急激に変化する箇所(ブレークライン)の標高データを取得して作成する方法もあります。また、大縮尺にするために高度を下げて撮影すると、高い建物や樹木が倒れこんで写りますが、これにDEMを適用して作成すると建物や樹木に位置ずれなどが生じます。そこで、DEMに代えてDSMを用いて作成することがあります。
近年ではSfMをはじめとするデジタル画像処理技術の進歩により、航空写真等から自動・半自動で作成されたDSMや既存のDEMを使用して、容易にオルソフォトが作成されるようになりました。例えば、航空レーザ測量データを標高データとして利用したオルソフォトが作成されています。さらに、航空写真を通常よりも多く重ね合わせて撮影することで、倒れこみを極力なくしたトゥルーオルソも作成されるようになりました。
これらのオルソフォトは建物などの各種現況調査、道路や道路附属物などの施設管理、新規出店候補地などの開発・プランニング、店舗の施設案内、都市空間のCG加工などに使用されます。
(2020年10月09日 更新)
(2015年11月16日 初稿)