リモートセンシングという言葉は、1960年代にアメリカで作られた技術用語で、それ以前に用いられていた写真測量、写真判読、写真地質などを統合した形で提唱されました。特に1972年にアメリカによって最初の地球観測衛星(Landsat、旧称ERTS)が打ち上げられてから急速に普及しました。かつては、remote sensingの日本語訳である「遠隔探査」や「隔測」などの用語が使われたことがありましたが、現在はカタカナ表記の「リモートセンシング」が用いられるのが一般的です。
リモートセンシングで対象物の情報収集に主に用いられているのは、紫外線からマイクロ波までの電磁波ですが、この電磁波を利用したリモートセンシングの基礎となっているのは、「すべての物体は、種類および環境条件が異なれば、ことごとく異なる電磁波の反射または放射の特性を有する」という物体の電磁波特性です。リモートセンシングでは、この物体の電磁波の反射特性または放射特性の固有性に着目して、物体の識別やそれが置かれている環境条件を把握しています。
現在リモートセンシングは幅広い分野で利用されています。静止気象衛星で観測されるデータが台風の進路予想を始めとする気象予報に不可欠となっているように、気象が最も代表的な利用分野です。その他、地球全体から都市に至るまでの環境調査や様々な災害による被害状況の把握、あるいは農林水産資源の実態調査や鉱物資源の探査などに利用されています。
(2015年11月17日 初稿)