広義の地球観測では、地殻構造や、深海生物の種類、雪氷の分布、気温や湿度、成層圏のオゾン量など、さまざまのものを、音波、電波、磁気、重力などを媒体として、観測します。
一方、狭義の地球観測である、衛星リモートセンシングでは、陸域や海洋などの地球表面の状態やそこで発生する現象、あるいは大気の状態や大気圏での現象を、主として電磁波を用いて観測します。ここでは、狭義の地球観測に限定して、説明します。
衛星リモートセンシングは、1972年のアメリカ合衆国の航空宇宙局(NASA)によるランドサット(Landsat)衛星の打ち上げから始まり、その後、世界各国がさまざまな地球観測のための人工衛星(地球観測衛星)を打ち上げてきました。現在では、多くの地球観測衛星により、陸域、海洋、大気が毎日観測されています。
地球観測衛星に搭載されている代表的なセンサには、写真のような画像が得られる光学センサと、自らマイクロ波を照射して地球からの反射波を観測する能動型マイクロ波センサや、対象物が放射するマイクロ波を観測する受動型マイクロ波センサなどの電波センサがあります。また、地球観測衛星の軌道は、観測目的や観測地域によって異なります。
一般に、全球を観測する地球観測衛星は、太陽同期準回帰軌道といわれる周回軌道をとり、地表から数百km離れた軌道から定期的に観測しています。一方、気象衛星ひまわりのように、同じ地域を常時観測する目的の気象衛星は、静止軌道(対地同期軌道)と言われる、高度約36,000kmの軌道を通っています。
観測されたデータの多くは、画像という形のデータですが、画像という形をとらないデータもあります。地球観測衛星で観測されたデータは、直接もしくはデータ中継衛星を経由して地上に送られてきます。
地球観測が始まった1972年当時の光学センサの空間分解能は約80mでしたが、その後光学センサの性能はめざましく向上し、現在では、1画素が50cm以下のデータを利用することも可能となっています。このような衛星画像は、航空写真ほど精細さはありませんが、宇宙から自動車を十分に識別できる程度の性能を持っています。
(2017年04月17日 初稿)