トータルステーション

トータルステーションでは、測距測角の観測を望遠鏡の同一視準軸で行うことができるため、1回の視準で、水平角、鉛直角、斜距離の測定を同時に行うことができます。観測値はすべて自動読取りされ、従来の野帳に代り電子的な野帳(データコレクタあるいはデータレコーダと呼ばれています)に直接記録されます。データコレクタをPCに接続することで、観測から計算、帳票作成、地形図編集までを効率よく行うことができます。これにより、観測値の記入ミスや転記ミスが避けられるようになりました。

トータルステーションにはマイクロコンピュータが内蔵されているため、測距の観測値の気象補正、傾斜補正、投影補正、縮尺補正等を行ったり、簡単な測量計算を行ったりすることができます。たとえば、①任意の点に対し、観測点からの3次元座標を求めたり、②設定された角度や距離と測定値の差を表示したり、③任意の2つの測点間の斜距離や水平距離および比高を求めたりすることができます。

現在、トータルステーションは、公共測量作業などでは、GNSS測量機と並んで、主要な測量機器と位置づけられています。公共測量では、セオドライトと同様に、その測定性能に応じて1級~3級の区分があります。たとえば、1級トータルステーションでは、その測角部の性能は1級セオドライトの性能に、測距部の性能は2級中距離型測距儀の性能に準ずるものとされています。

(2015年11月18日 初稿)

English

Total station

定義

トータルステーションは、角を電子的に自動読取りができる電子式セオドライト(トランシット)と、数km程度まで測距可能な近距離用光波測距儀とを一体化した測量器械です。2つの測量機器を統合した機器という意味でトータルステーションという名称が付けられました。TSと略すことがよくあります。かつては、電子タキオメータ(electronic tachymeter)と呼ばれたこともありましたが、現在ではトータルステーションと呼ばれることが一般的です。