下図に示すように、3点S、P1、P2があったとき、測量では、この3点で決定される平面上の角(斜角)∠P1SP2を測定することはありません。測量の体系は水平面(重力の方向に垂直です)を基準としているため、測量では、水平角λ = ∠P1ʹSP2ʹおよび鉛直角Z1 = ∠ZSP1、Z2 = ∠ZSP2を測定します。ここで、2点P1ʹおよびP2ʹは、それぞれ点P1およびP2を点Sが含まれる水平面に投影した点であり、点Zは点Sの鉛直上方の点とします。また、鉛直角の補角φ1 = ∠P1ʹSP1、φ2 = ∠P2ʹSP2は高低角あるいは高度角と呼ばれています。点P1あるいはP2が水平面より上にある場合の高度角は仰角と呼ばれ、下にある場合の高度角は俯角と呼ばれています。
角度の測定に最もよく用いられてきた器械はトランシット(経緯儀またはセオドライトとも呼ばれます)です。トランシットは望遠鏡と目盛板から構成されており、水平角および鉛直角の測定ができます。概略の方位を求めるのに用いられるコンパスは測角にも利用できます。六分儀は主として海上や河口などの船上で測角をするのに用いられています。六分儀は、船上で位置のわかっている3点の既知点の角度を測定することにより自船の位置を求めるために、昔から利用されてきました。六分儀には、動いている船上から陸上の目標や天体の星などをすばやく観測できる利点があります。
(2015年11月18日 初稿)