トランシットは主として水平角や鉛直角を測定する器械です。近年は光波測距儀の機能を組み込んだトータルステーションが普及したため、測角の機能だけを有するトランシットの出番は減りつつあります。
トランシットは、①視準線を定めるための望遠鏡、②望遠鏡を回転させるための水平軸および鉛直軸(重力方向に対して平行)、③望遠鏡の水平軸および鉛直軸の回りの回転量を測るための目盛盤、④鉛直軸が鉛直方向になっているかどうかを示す水準器の置かれる平盤、⑤平盤の傾きを調整する整準ねじ、⑥トランシットを固定する三脚などで構成されています。
現在のほとんどのトランシットでは、円形のガラスに目盛りが刻まれたガラス目盛盤が用いられています。水平目盛盤は、0°から360°までを10′~30′刻みで右回りと左回りの両方向に目盛がついています。鉛直目盛盤は、水平線を0°として両側に180°まで目盛がついているものと、鉛直上方を0°として右回りに360°まで目盛がついているものがあり、どちらも10′~30′刻みで目盛がついています。従来のトランシットでは、バーニアあるいはマイクロメータで読み取りを1″~20″単位で行っていましたが、近年のトランシットはロータリエンコーダを利用したデジタル直読式で、読み取りは1″~5″単位で行うことができます。公共測量では、その測定性能に応じて1級~3級の区分があります。たとえば、1級では、水平角1角の標準偏差が2.0″以下であることとされています。
(2015年11月18日 初稿)