弾性波探査は、地盤を伝播する弾性波の速度や波形を受振し解析することで、地下の地盤構造を推定します。探査方法原理の違いにより様々な種類がありますが、大きく分けて2つの方法があります。一般的に、土木・地盤工学の分野で用いられるのは、”屈折法”と呼ばれる方法です。屈折法は、弾性波が地盤内を伝わり、地層の境界で屈折し、境界部を伝わって伝播する波を利用しています。一方、天然ガスや石油等の資源探査では、“反射法”と呼ばれる方法が用いられます。反射法は、発生させた弾性波が、物性の異なる地下の地盤境界部で反射して戻ってきた波形を観測しています。屈折法と反射法の違いは、前者は弾性波の地盤の伝播速度をある程度正しく得られる(地盤の物性を推定しやすい)のに対し、後者は地下形状の凹凸や層序を識別するのに有利であるというところにあります。これらの他にも、地表面に沿って伝播する波を捉える表面波探査などがあります。
弾性波探査は、道路・鉄道・トンネル・ダムといった土木構造物の計画段階における地質調査で多用されています。その他、地すべりや深層崩壊、活断層、盛土など、防災分野の調査に用いられることもあります。いずれの場合も、ボーリング調査や他の物理探査(電気探査、地中レーダなど)と組合せて、総合的に解析することで、より精密な地盤の状態を把握することができます。
参考文献
公益社団法人地盤工学会(2013):地盤調査の方法と解説,pp.115-119.143-150
物理探査学会(1998):物理探査ハンドブック,pp.1-151
(2018年01月17日 初稿)