地質調査の基本となる地質学は、岩石・鉱物学、構造地質学、層序学、堆積学、古生物学等からなります。また、地質工学、応用地質学は、この地質学に加え、地球物理学、地理学、地球化学等の地球科学分野を用いて、必要な工学的地盤情報を取得し、土木、資源、防災等の分野へ寄与するものです。人、および社会への直接的な関わりを考慮する場合、地質調査は地質学、地質工学、応用地質学までの領域を対象とします。
では、地質調査がどのように行われているか、身近な例では、「道路・橋」「ダム」「トンネル」「建築物」等の構造物を建設する場合、また「斜面崩壊」「地すべり」等の災害防止・対策を行う場合がありますが、それぞれに適した地質調査を行い、必要な地盤情報を取得します。
たとえば「ダム」の地質調査。ダムはコンクリートや岩石等からなる大きく重い構造物で、発電や洪水対策のため大量の水を貯留することがあります。地質調査では、周辺に活断層はないのか、ダムを造るための材料が近傍にあるのか、また使用可能な性質なのか、ダムや貯水の重さに地盤が耐えられるのか、貯留水が地盤を通じて漏れないのか等を調べる必要があります。また「地すべり」は、山の斜面がゆっくり移動する現象です。地すべりの動きを止める対策を行うために、地すべりの範囲や深さ、地すべりの動き、地すべり面の強さ等を調べる必要があります。
このような地盤情報を取得するための地質調査法として、「地形判読」「地表地質踏査」「ボーリング調査および孔内試験」「物理探査」「地化学探査」「土質・岩石試験」等、多種の地質調査法があります。対象となる建設物等に応じて、適切に選択・適用して実施しますが、悠久の時間をかけて形成された地盤から得られる情報は複雑で一律ではありません。様々な地質情報を基に、知識や推察力による総合的な判断により地盤のモデル化を行うわけですが、これが地質調査の難しさであり醍醐味でもあります。
(2015年01月26日 初稿)