ボーリングに用いる機械は手動式、機械式があり、掘削方法も打撃式、回転式があります。現在最も多く使用されているのは、油圧で回転させる機械式です。この機械の先端にビット(地中の土・岩石を切削する器具)を装着し、荷重をかけながら回転させ地中へ掘り進みます。また、調査場所や深度により、分布する地盤は泥や砂のように軟らかい状態から硬い岩石まで様々です。そのため、ボーリング技術者が地中の状況を判断しながら、掘削に適合したビット等の器具を選択し、機械の回転、荷重、送水圧・量等を適切に操作することが必要で、経験・熟練が必要とされる調査方法です。掘削する深度や機械は目的によって選択します。低層建築物のための小型機械による数m掘削から石油等の資源探査のための大型機械を使用した千mを越える掘削規模まで様々です。また、垂直に掘削するだけでなく、目的に応じて斜めにも掘削することが可能であり、掘削方向を制御できる機械もあります。
日本では、ボーリングは、古くは「上総(かずさ)掘り」とよばれる打撃式の人力によるものが、井戸の掘削に利用されていました。その後、石炭や石油、金属鉱床等の資源探査へ利用が進み、鉄道が発達する時代になると、鉄道建設に伴う橋梁やトンネルの地質調査のために行われるようになり、その後、建築基礎調査やダム建設等の建築・土木へ利用範囲が拡大し、多くの建築・土木構造物建設のための基礎技術としての役割を担ってきました。
このように、社会資本の発展や資源開発の他、地すべりや地震等の防災対策に重要な役割を担っている技術分野ですが、特に日本での地質調査技術の社会的認知度や評価が低く、志す若者の減少とともに、高齢化、離職率が進んでいる傾向が見られます。今後の国土の維持・発展のために、技術を維持・継承し、より高度な技術開発を推進していくことが必要だと思われます。
(2015年01月26日 初稿)