物理探査

主な物理探査は、(反射法、屈折法)地震探査、振動測定、重力探査、磁気探査電気探査、電磁探査、放射能探査及び孔内物理検層などが挙げられます。それぞれから得られる物理的な性質を利用して、地下の地質構造、地盤の工学的な性質、地下水の状態などを推測するほか、トンネル等のコンクリート構造物の劣化や空洞状況の判定にも応用されています。

物理探査はもともと地下資源開発の分野で発展してきたもので、20世紀半ばころから地下水開発や地盤調査のための探査に活用され始めました。物理探査には、さほど大掛かりな資機材を必要とせず、地表からの探査で、線的・面的なデータが比較的短期間に入手できるといった利点があります。一方、欠点としては、得られる物理量や数値から解析した結果が、実際の地質、地下水の現象及びコンクリート構造物の空洞等の位置と精度よく合致しない場合があることです。これは掘削のように地下から試料を直接採取・確認することができないことや地下水の存在する深度及び空洞等の位置を直接確認することができないことなど、物理探査の限界と言われています。

海外における地下水開発調査においては、一般的に井戸掘削の開始前に電気探査や電磁探査が行われ、得られた比抵抗値をもとに掘削地点を選定します。その際、探査結果と既存の井戸資料や水理地質図を対比し、探査結果を効率よく解釈することで物理探査の限界を補うことが必要です。

(2015年11月10日 初稿)

English

Geophysical exploration

定義

物理探査は、地表あるいは地下のボーリング孔から地震、電気、振動等を人工的に与え、地下あるいは地表での物理現象を観測し、得られた物理的性質を解析することで、地盤の状況や構造物の性状の把握を行う調査手法です。振動測定では、自然の微動振動を利用する場合もあります。