地盤を構成する岩石や土(固体)・水(液体)・空気(気体)などの物質には、物質固有の電気的な性質があり、比抵抗もこの性質の1つです。固体や気体である岩石や乾燥した土、空気では、絶縁性が高く、一般に比抵抗が大きくなり、水を多く含む土などでは、電気的な導体である水の影響を受け、一般に比抵抗が小さくなる傾向があります。この違いを利用して、比抵抗法は、石油・鉱山開発や、地熱発電や温泉開発の分野、土木分野(ダム、トンネル工事など)、防災分野(地すべり調査)などで活用されてきました。
比抵抗は、式;ρ=G V/I (V:電位[V]、I:一定の電流[A]、G:観測手法により決まる係数)で与えられ、観測装置から送られる一定の電流を地盤中に流して、手法ごとの電極配置により電位を計測することで、観測している地盤や地層の比抵抗が求まります。
手法や種類は、人工的に電流を流して電位を計測する「比抵抗法」や、地盤が元来有する電位を計測する「自然電位法」などがあります。また電極配置の違いにより、「水平探査法」や「垂直探査法」などがあります。
留意点として、地盤には、比抵抗が大きいからといって一義的に土中の水分量が小さいと解釈できるとは限らず、溶解している塩分量や鉱物の化学的な組成などにも影響される場合があります。そのため、地表踏査やボーリング調査など他の調査結果とともに、総合的に結果を評価する必要があります。
地すべり調査では、安定した岩盤では、緻密な岩石であるため比抵抗が大きくなる傾向があり、地すべり活動により乱された地層では、隙間に地下水が流れることで比抵抗が小さくなる傾向を活用して、地すべりの深さを把握する調査に活用されます。
(2016年11月28日 初稿)