地熱は、火山の多いわが国に豊富に存在する純国産エネルギーであり、エネルギー資源の輸入依存度低減に貢献する重要なエネルギーです。
地熱発電は、環境負荷の少ない発電方式であり、半永久的なエネルギーの利用が可能です。また、発電に用いる高温の蒸気や熱水の廃熱が、植物栽培用の温室や地域の暖房、融雪のための熱供給などに再利用できるため、発電と熱利用を併せた高い総合効率が期待されます。
一方、地熱発電の開発は地下深部の掘削を行うため、生態系や温泉資源への影響については長期的にみると充分に把握できているとはいえません。そのため、周辺地域への影響を見極めながら慎重に進めることが重要になります。また、周辺の調査、試掘が必要であることなどから10年程度と長い開発期間が必要となります。長い開発期間を要する上、開発には多くの資金が必要であること、開発可能地域の多くが自然公園法等の制約を受ける地域にあることも普及が進まない原因となっています。しかし、ニュージーランドのように地元マオリ族との相互理解の機会を設け、自然環境を管理する地熱貯留層開発計画といった方法を明確にし、独自の制度を導入することで事業者側の不確実性を軽減し開発期間を5~7年程度と短縮し、地熱発電の導入を加速している事例もあります。
膨大なポテンシャルをもつ地熱発電は、出力安定性や稼働率の高さからわが国のベースロード電源としての普及が期待されています。
参考文献
・技術開発機構(2008年)「新エネルギー導入ガイドブック」
・日本地熱協会ホームページ
・総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会第13回(資料6-1)
・新エネルギー財団(2012年9月)「ニュージーランドにおける地熱発電」
(2015年11月18日 初稿)