UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人飛行体)は航空機では実施できない300m以下の低高度の空中写真撮影を行うことのできる計測機体で、軍用の大型UAVや模型のラジコン飛行機と違い、一般にバッテリーによるモーター駆動かつ自動飛行可能であることが特徴です。普及し始めたマルチコプター型UAVの場合、飛行速度は約20km/時で、20分程度の連続飛行が可能です。機体情報のモニターできるUAVは、飛行位置やバッテリー残量も常時確認できることから、安全航行などへの効果が期待できます。
UAV機材を用いて写真測量を行う場合、目的の地上解像度と計測範囲に合せた飛行高度、撮影コースのデータを作成します。撮影計画のデータを記憶させたUAV機材は、離陸後に自動操縦に切り替えるだけで、撮影コース上でシャッターを切りながら自動航行し出発地点に戻れる機材もあります。撮影した垂直写真からは、画像マッチングソフトを利用することで、地形モデルを生成し写真地図を作成できます。なお、標定点を配置することで測量精度の向上が図れ、横断面作成や数値図化へも対応できます。斜め写真撮影の場合、操縦用電波の他に画像伝送用電波が使用できれば、地上のモニターを見ながら撮影することもできます。
2008年頃から、人の立ち入れない大規模山腹崩壊現場やメガソーラー発電施設の変位計測、河口部での野鳥調査などに、マルチコプター型を用いた写真計測が利用され始めました。国土交通省でも、2014年から堤防維持管理の高度化、災害時における緊急撮影について検討が始まるなど、今後利用効果が期待されている計測技術です。
(2019年05月10日 更新)
(2014年12月04日 初稿)