画像撮影には、3次元計測を目的とするステレオ画像の撮影や、構造物の劣化診断に用いられる熱映像の撮影、群衆内の個人の動きを調べるための定点カメラによる動画の撮影など、さまざまなものがあり、撮影目的はそれぞれ異なります。撮影計画では、まず撮影目的を明確に定めることが必要です。例えば、地図を作成することを目的とする航空写真の撮影では、地図を作成する範囲、地図の縮尺や精度、地図に描く地物の種類などを明らかにする必要があります。
つぎに、撮影目的に応じた画像の縮尺(デジタル画像の場合は、対象における1画素の大きさ)を決定します。画像縮尺や1画素の大きさが決まれば、それに対応するカメラやレンズを選定することができます。なお、植生の調査などでは、可視画像を取得する通常のカメラだけでなく、近赤外線画像を取得できるカメラが利用されることもあります。カメラやレンズが選定されれば、撮影する位置や、カメラを向ける方向は決まります。撮影位置や撮影方向によっては、航空機やUAV、気球、高所作業車などにカメラを搭載することが必要となる場合もあります。また、地図作成など、3次元計測を行うときには、ステレオ写真を撮影する必要があります。ステレオ写真の撮影では2枚の写真の重なりの度合いが、計測できる範囲や計測精度を決定することになるため、重なり度合い(これをラップ率と呼びます)を決める必要があります。
画像や動画の利用目的によっては、撮影に適した季節や時刻が限定される場合もあります。樹木に葉がついている時期に森林を撮影した画像は、地面が見えていないため、地形計測には適していません。一方、植生調査では、このような写真は非常に役に立つものです。また、特定の気象条件での撮影が求められる場合もあります。
(2017年04月14日 初稿)