マルチ・モニタリング技術は、社会資本の老朽化や土木技術者の減少、激甚化する自然災害という社会課題に対し、インフラ管理・防災・環境保全の各分野でDXを推進し、トータルコストの削減と業務効率化を果たすために活用される技術です。

この技術の核心は、GNSS、IoTセンサ、衛星SAR、航空レーザ、定点カメラなど、多種多様なセンサによる変位計測技術に、通信・システム技術を融合させた統合的な観測体制を構築することにあります。これにより、「時空間的に連続な」変位計測が可能になります。
具体的な役割として、GNSSやIoTセンサは、mm単位の高精度計測や最短1秒ピッチの連続観測により「局所計測」を担います。一方、衛星SARや航空レーザは、広域的な変位箇所の抽出や面的な動態傾向の把握、過去に取得されたデータを用いた変位傾向の把握などの「広域計測」を担います。また、定点カメラは「局所計測」と「広域計測」の間を補完する計測であり、インターバル撮影画像から変位箇所の特定や動態の連続監視を行うことが可能です。各種センサで取得されたデータは、クラウド上で自動解析・インターネット配信を行う「クラウド型変位監視システム」と連携します。これにより、対象物の状態変化をリアルタイムに可視化し、的確な安全判断を支援します。この仕組みにより、現場管理の高度化や見える化に加え、省人化や効率化を実現します。
この技術は、地すべりの動態観測やダム堤体の挙動観測、道路法面の安全管理など様々な現場で活用されています。インフラ・防災・環境の各分野におけるDX推進と業務効率化への功績が評価され、「R4インフラDX大賞 国土交通大臣賞」を受賞しました。
[参考文献]
①国際航業株式会社:マルチ・モニタリングサービス https://www.kkc.co.jp/service/lp/8363/
②JAXA:衛星地球観測コンソーシアム「地盤変動マルチモニタリングサービス」https://earth.jaxa.jp/conseo/casestudy/pdf/UC_KOKUSAIKOGYO_1_j.pdf
③国土交通省:令和4年度インフラDX大賞 https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000945.html
(2026年7月3日 初稿)