製品を製造するときには、その製品の設計図や素材、製品が担保すべき品質など、作成する製品の詳細な仕様が必要です。地理空間データの作成も同様です。論議領域を満たす地理空間データを作成するには、データへの要求を明確にしなければなりません。どのような内容・構造になっているべきか、地理空間データの品質はどの程度でなければならないか、どのような形式で納品しなければならないか、このような要求を仕様としてまとめたものが地理空間データ製品仕様書です。
一方、作成された地理空間データを再利用するときを考えてみましょう。地理空間データそのものやメタデータだけでは、詳細が分かりません。しかし、製品仕様書があればデータの内容や構造、品質及びデータ形式が分かります。
このように、製品仕様書は「地理空間データの詳細な設計書」であり、「地理空間データを流通・交換する際の取扱説明書」でもあります。データ設計者はデータを作成する際に製品仕様書を作成し、データ作成者に示します。データを流通・交換する際には、データと製品仕様書を対として受け渡しします。製品仕様書により、地理空間データの流通や相互利用を促進できます。
地理情報標準では、JIS X7131として国内規格化されており、製品仕様書に記述すべき事項やその内容が定められています。また、実用上の標準である地理情報標準プロファイル(JPGIS)に準拠した製品仕様書を作成するための「地理空間データ製品仕様書作成マニュアル」が発行されています。例えば、データの内容及び構造は「応用スキーマ」と呼ばれる項目になります。品質は定量的な品質情報を使用して記述します(「地理空間データの品質」参照)。また、データ形式は、GMLが推奨されています。
参考文献
日本工業標準調査会(2014):JIS X7131地理情報―データ製品仕様、日本工業標準調査会
国土地理院(2014):地理空間データ製品仕様書作成マニュアル,2014.4
(2019年05月17日 更新)
(2017年01月18日 初稿)