協定世界時(UTC)は1972年以降、国際原子時(TAI: International Atomic Time)と整数秒差を維持しつつ UT1(世界時の項参照)との近似的一致を保証するため、1秒を挿入または除去する、うるう秒調整を導入し、ΔUT1(UT1-UTC)が±0.9秒以内に収まるように、国際地球回転観測事業(IERS: International Earth Rotation and Reference Systems Service)中央局が ΔUT1の予測値に基づいて定めています。2023年2月現在、UTCはTAIから正確に37秒だけ遅れています。表1に、1972年以来行われてきたうるう秒調整の内容を示します[1]。
表1 うるう秒調整日一覧
しかし、うるう秒調整は不定期に行われることから、情報処理が複雑になるという指摘があり、例えば汎地球測位システム(GPS)で使われているGPSタイムでは、基本的にUTCは使われず、GPSタイム = TAI − 19秒で計算されます。また、例えばうるう秒調整が行われた時点でカーレースが行われていたとすると、疾走するレースカーにとって1秒は長い距離に相当するにも関わらず、UTCを記録したデータだけをみると、うるう秒調整時の1秒あたりの距離が勝手に増減する、ということになりかねません。とはいえ、UTCはすでに日常生活で広く使用されており、いきなり廃止にするのは困難という事情もあります。そこで、2022年11月の国際度量衡総会(General Conference on Weights and Measures)の場で、うるう秒の見直しが決議され、見直しが終了するまではうるう秒調整は行わず、2035年までに、0.9秒という最大値をどこまで伸ばすかを決める、としています[2]。
[参考文献]
[1] 情報通信研究機構日本表示グループ、うるう秒実施日一覧
https://jjy.nict.go.jp/QandA/data/leapsec.html (最終閲覧日2013年2月11日)
[2] General Conference on Weights and Measures (CGPM) (2022), Resolution 4 of the 27th CGPM (2022) On the use and future development of UTC
https://www.bipm.org/en/cgpm-2022/resolution-4 (最終閲覧日2023年2月10日)
(2023年02月27日 初稿)