分子や原子は、固有の周波数の電波が通過するときに共振します。この現象を利用して一定の周波数の信号を発生させれば、信頼性の高い時計になるということで、原子時計が発明され、精度の高い時刻を求めることが可能になりました。原子時計が示す時刻は原子時と言われます。しかし、使用する原子時計やその設置場所によって微小な違いが現れるので、世界各地の原子時計のデータを集めて調整し、国際度量衡局(BIPM: Bureau international des poids et mesures (仏語))がジオイド面(地球表面)上の時刻を決定し、それを国際原子時(TAI: Temps Atomique International(仏語))と呼んでいます[1]。なお、原子時計は高精度のものであれば±10の-15乗秒程度の精度がでるとされてきましたが、最近では±10の-18乗秒というもの[2]や、それ以上とされるもの[3]も開発されています。
[参考文献]
[1] 青木信仰(1992)『時と暦』東京大学出版会、pp.232-235
[2] 東京大学(2020)18桁精度の可搬型光格子時計の開発に世界で初めて成功 ~東京スカイツリーで一般相対性理論を検証~ : 物理工学専攻 牛島一朗助教、香取秀俊教授ら、工学部/工学系研究科プレスリリース、
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/foe/press/setnws_202004071401382830455235.html
(2022年06月22日 閲覧)
[3] Jennifer Chu (2020) New type of atomic clock keeps time even more precisely, MIT News, MIT News Office, https://news.mit.edu/2020/atomic-clock-time-precise-1216
(2022年06月22日 閲覧)
(2022年06月24日 初稿)