地すべりは、大規模に(すべり土塊の平均厚さ20m、地すべり規模1~100ha(藤原(1979))斜面が移動する現象で、地すべりによっては、年間数mmから数十mの変位(土塊や岩塊の移動)を生じることがあります。もし、大きな地すべり変位が発生してしまうと、人命や家屋などに被害が及ぶ可能性があるため、地すべりの変位を抑止または抑制するために対策工事が行われます。
地すべりの変位計測の主な目的は、地すべりの活動度の把握やメカニズムの解明、対策工事の基礎資料として用いられる他、住民等が避難を行うための警報用センサーとして用いられています。
地すべりの変位計測方法としては、地すべり専用に開発された計測機器を用いる方法と、写真やGPS、航空レーザーなど測量手法を用いる方法に大別され(下表参照)、機器や設置箇所等は、地すべりの規模や重要性、コスト、各機器の特質等から判断し選定します。
機器 | 計測対象 | 内容 |
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GPS/GNSS | 地表変位 | GPS衛星から送信された電波の位相量変化を利用して計測する方法(http://www.shamen-net.com 参照) |
伸縮計 | 地すべり地と不動地をまたぐように鋼線(インバ線)を敷設し、鋼線の長さの変化量を計測する方法 | |
航空レーザー・衛星SAR | 「三次元変位ベクトル解析」・「SARによる変位モニタリング技術」参照 | |
孔内傾斜計・パイプ歪計 | 地中変位 | ボーリング孔に、傾斜計やひずみケージを張り付けた塩ビパイプを挿入し、ボーリング孔のたわみを計測する方法 |
参考文献
・藤原明敏(1979):地すべり解析と防止対策,pp2,理工図書
(2019年05月10日 更新)
(2015年11月18日 初稿)