DEMは、対象地形エリアでの標高データ密度が低い場合、既知の標高点や水深点を用いて補完計算を行い一定間隔の高密度データを構築します。海底DEMは、鯨瞰図(陸の鳥瞰図)としての海底特性のビジュアル化、海洋構造物のモデルリング、流れなど数値シミュレーションを可視化する主題図として有効です(図1参照)。
海底は、写真やレーザなどによる陸上計測手法を用いることができないため、水中へ出した音波が、海底から反射して来るまでの時間を測ることで水深を求める音響測深手法で計測します。
海底DEMは、メッシュの間隔が1m~10mの高精細で小範囲のものから、50m~1,000mと分解能を抑えた広範囲のものがあります。なお、高精細の海底DEMは、マルチビーム測深(図2参照)などによる高密度の実測測量データから作成されることが多く、広範囲のものは、既存資料から等深線データを用いた補完により構築されます。
海底DEMは、海域における地理情報システム(GIS)の空間情報基盤データとして、有効かつ発展性のあるモデルです。例えば、地上では、国土地理院が全国の標高を記録した数値標高モデル(DEM)として10m、50mメッシュ(標高)の全国整備を完了しています。今後は、海洋資源の開発及び利用の推進、海洋環境の保全、海洋調査の推進などを実行していくため、陸上同様に空間情報基盤の充実が望まれます。
(2015年11月18日 初稿)