音響測深

超音波技術の水中利用は、1912年、タイタニック号沈没事件を契機に始まったといわれており、日本では1927年に超音波による魚群探知の実験がスタートし、その後改良を重ねて今の音響測深機となっています。音響測深の基本原理は、船から音波を発射して海底で反射し再び帰ってくるまでの時間を測定し、測定した時間に音波の水中伝達速度(以下、水中音速度とする)を乗じることによって水深(深さ)を求めています。

音響測深は、音波を送受信する方式によりシングルビーム(1素子)測深、多素子(2素子、4素子)測深、マルチビーム測深に大別されます。最近は、送信機から指向角の狭い複数の音束を送信(測深方向と直行する扇状)し、受信して一度に広範囲の測深が可能なマルチビーム測深が主流となりつつあります。この方式は、従来方式の記録紙がデジタルデータとなり、測深範囲が線から面に広がったことから、高精度な面的海底地形を得られようになりました。

音響測深技術は海底地形を計測する基礎技術であり、海図や港湾工事をはじめとする、あらゆる海の基盤情報として活用されています。特に、最近では、高精度な海底DEM作成に用いられ、海域における地理空間情報の基盤データとして、地理情報システム(GIS)上での三次元可視化や土砂移動分析、津波シミュレーション等の各種数値解析シミュレーションに利用されています。

(2015年11月18日 初稿)

English

Echo Sounding

定義

音響測深とは、船舶に搭載した音響測深機の送受波器から発信された音波が海底で反射されて戻ってくるまでの時間を測定することにより水深を測定する方法です。得られたデータは、測定時の潮汐補正、水中の音速の補正(水温や深度により変化)など行い、正確な水深として用いられています。