海図は、航海のために必要な情報として、水深や海岸地形、海底の底質、灯台などの航路標識や定置網などの漁具の位置、無線局や沈船の位置、海流・潮流の概要、港界などを正確に見やすく表現したもので、船舶の航行や海の工事、漁業やマリンレジャーなど幅広く利用されています。
陸上の地形図では、全国の標高を東京湾の平均水面から測っています。しかし、船舶の航行では、航路の水深を平均水面から示すと、干潮で水面が下がったときに座礁するおそれが生じます。また、航路上の橋の高さを平均水面から示すと、満潮で水面が上がったときに衝突するおそれが生じます。そこで、航行の安全のため、験潮記録にもとづいて、地域ごとに最低・平均・最高の3つの基準水面を定めています。そして、海図には、水深を最低水面からの深さ、航路を横断する橋げたや電線等の高さを最高水面からの高さで示しています。
海図は、海上保安庁のほか、水路測量技術の資格をもつ民間技術者が業務に従事して作成、更新されます。この際、海上位置測量、水深測量、潮位観測(験潮)、底質調査などを行い、特定位置での水深、潮汐の干満による水深補正値など必要な情報を取得します。これらのデータは、海上保安庁で審査を行い、海図に反映しています。
(2019年07月24日 更新)
(2015年11月16日 初稿)