風力発電は自然に吹く風の力で発電する、運転時に温室効果ガスを排出しないエネルギーの一つです。風は枯渇することがなく無限にあるため、エネルギー資源の少ない我が国における導入意義は高いとされています。我が国の風力発電の導入ポテンシャルは、経済産業省や環境省によって試算されており、陸上では2.8~2.9億kW、海上では15~16億kWと算定されています。
発電にかかるコストは、水力発電や火力発電等の大規模電源よりもやや高いものの、太陽光発電など他の再生可能エネルギーと比較すると安く、風車の大型化や設備の効率化等、技術の進展によって更なるコスト削減が見込まれています。
以上のような長所を持つ風力発電ですが、発電の安定性や環境負荷の面での課題も指摘されています。風は常に一定の力や方向に吹かないため、発電が不安定になる傾向にあります。また、騒音問題等生活環境への影響や希少鳥類への影響への対応が必要になります。
課題も指摘されますが、地球温暖化防止やエネルギー自給の観点から、風力発電は我が国にとって重要な役割を担うとされ、導入促進が求められます。そのため、開発時の十分な調査や、発電設備の改良による騒音の低減及び住宅地域や重要施設から離れた地点に設置するなどの工夫が求められます。今後、蓄電池併設や地域エネルギーマネジメントの普及による出力の安定化が可能になると見られており、 導入拡大が期待されています。
参考文献
・資源エネルギー庁ホームページ(新エネルギーについて(なっとく!再生可能エネルギー)
・公益社団法人日本電気技術者協会ホームページ
・風力発電導入ガイドブック
・NEDO再生可能エネルギー技術白書 第2版 第3章 風力発電
(2015年11月18日 初稿)