温室効果ガス

現在の地球は、大気中に水蒸気やCO2などの温室効果ガスが存在することによって温暖な環境が保たれています。大気中に温室効果ガスがない場合、地表気温はおよそマイナス19°Cになりますが、温室効果ガスの存在によって地表気温はおよそ14°Cになっています。大気中に微量に含まれる、メタン、一酸化窒素、オゾンやその他の気体も温室効果に寄与しています。湿潤な赤道域では、大気中に大量の水蒸気が含まれているので温室効果は非常に大きくなっています。一方、寒冷で乾燥した極域では、二酸化炭素や水蒸気のわずかな増加がより大きな温室効果を及ぼすことになります。同じように、低温で乾燥した上層の空気では、水蒸気のわずかな増加が及ぼす温室効果は地表面付近で起こる場合よりさらに大きくなります。

工業化の時代にあっては、人間活動によって二酸化炭素などをさらに大気中に追加することで温室効果が強まり気候が温暖化することにつながっています。このように温室効果ガスの増加によって大気や海水面が暖まると、水蒸気の濃度が上昇し、水蒸気による温室効果を強めることになります。そしてこれがさらに温暖化を促し、そのことで、水蒸気がさらに増加するという循環を形成します。この水蒸気による温室効果は、二酸化炭素の追加だけによる温室効果をおよそ倍増するほど大きいものと考えられています。

我が国の地球温暖化対策計画(平成28年5月閣議決定)では、削減の対象とする温室効果ガスや長期的な削減目標が示されています。燃料の燃焼で排出される二酸化炭素はこの温室効果ガスの約9割を占めており、2030年度における排出量を2013年度比25%減の水準にしていくことを目標にしています。

参考文献
PCC 第4次評価報告書 第1作業部会報告書 概要及びよくある質問と回答 気象庁訳 平成19年11月14日
地球温暖化対策計画 平成28年5月13日閣議決定

(2017年9月22日 初稿)

English

Greenhouse gas

定義

温室効果ガスとは、地球の大気に含まれている水蒸気、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、オゾン、一酸化二窒素(N2O)、クロロフルオロカーボン(CFC)など温室効果をもたらす気体の総称です。これらの気体は、赤外線を吸収し、また、再放射する性質を有しています。そのため、太陽に暖められた地球表面から放射される赤外線の多くが、熱として大気に蓄積され地球に戻ってきます。その戻ってきた赤外線が、地球の表面付近の大気を暖め、温室効果をもたらします。