国内には110もの活火山が存在し、これらのうち気象庁が継続的に監視観測を行うべきとしている火山として、47火山が指定されています。火山噴火対策(Measures for volcanic eruptions)は、これらの火山から優先的に整備が実施されてきています。火山噴火対策は、おもにハード対策とソフト対策に分けられます。
ハード対策とは、砂防えん堤や遊砂地、導流堤などの構造物を斜面や渓流部に設置して、噴火に起因する土石流、泥流、溶岩流などを捕捉したり、流れの方向を変えたり、勢いを弱めたりするための対策です。火山対策用の砂防えん堤は、全国の重要火山に対して整備されつつあります。伊豆大島の三原山火山には、溶岩流の流路を変更させるための導流堤が設置されています。また、2011年1月に起こった霧島山新燃岳の噴火後や桜島火山では、土石流による土砂の捕捉量を確保するため、砂防えん堤の堆砂地などの土砂掘削を行っていますが、これもハード対策の一部といえます。
ソフト対策とは、構造物を設けるのとは違う形で被害を抑止・軽減する方策です。火山ハザードマップを整備・配布したり、避難計画を立てたり、あるいは協議会を設けるなどして関係者間の連絡体制を構築しておくことなどが挙げられます。また、桜島のように常時活動状態をセンサーなどの機器で監視するのもソフト対策の1つです。火山ハザードマップとは、各火山の特性に応じた火山現象(降灰、火砕流、溶岩流、土石流など)の影響予想範囲を示したマップのことで、三次元地形モデルを用いた数値シミュレーションを駆使して作成します。これを周辺住民に予め周知し危険なエリアを認知してもらうことが目的です。また、十勝岳や浅間山など多くの火山では、周辺住民と自治体関係者らで、このハザードマップを利用した防災訓練が行われています。
(2015年01月16日 初稿)