屋内測位

屋内測位は、GPS電波の届かない屋内や地下空間でも、地上と同じように正確な位置情報を取得するための技術です。GPS を使ったカーナビや携帯端末による地図アプリは今や広く普及し、人々はその便利さやメリットを日々感じています。しかしGPSは人工衛星から発信される電波を用いるため、屋内や地下空間では利用ができません。また、通信事業者の基地局を用いた測位情報では、実際の位置と測位結果に数十m〜数km前後の誤差が生じるため、屋内施設の詳細な位置推定を必要とするサービスには適していません。

屋内における位置推定には次の様な技術が研究・開発されています。

表1 屋内測位技術の例
屋内測位の例概 要精 度
Wi-Fi屋内に設置された複数の無線LANアクセスポイントのビーコン情報及び電波強度等を基に、位置を計測5-10m
BLE(Bluetooth Low Energy)屋内に設置されたBluetooth発信機からの情報を基に端末の位置を計測。 Wi-Fiと比べ低消費電力で利用可能数m〜
IMES(屋内GPS)GPSと同じ電波形式でIMES送信機の位置情報が送信され、それを基に端末の位置を計測数m
センサ統合&自律航法何らかの手段で出発点の位置を確定した後、スマートフォン等に搭載れている加速度、地磁気、ジャイロセンサなどを組み合わせて位置を推定数10cm-数m
非可聴音(超音波)何人が感じられない超音波を発信し、それを基に位置を計測数cm
RFID(passive)ICタグをリーダに触れさせることにより、位置情報を取得ほぼ0m
RFID(active)ICタグから電波を出し、位置情報を取得数m
可視光通信LED照明などを人が感じられない速度で点滅させて位置情報を発信し、それを基に位置を計測0.1m〜数m
2次元コード/マーカー携帯電話内蔵のカメラなどで実用化ほぼ0m
画像マッチング予め取得した画像情報と、カメラで撮影した画像情報の特徴点を抽出し、自己位置を推定する手法数cm
UWB:Ultra Wide Band (超広帯域無線)無線LANよりも広帯6Ghz〜20GHzの周波数帯を用いた高精度測位システム数cm〜1m

このような屋内での位置測位技術を利用者が意識することなく使える環境が整備されることで、屋内と屋外の位置情報がシームレスに繋がり、個人や企業にもより利便性の高いサービスを提供することができます。

例えば、屋外から地下街やショッピングモール内のレストランの予約席まで、階段を使わないルート案内でスムーズにたどり着き、その場で配信されたクーポンでお得に食事することもできます。

今後さらなる技術開発が進むことで、人手不足に悩んでいる建築や介護などの分野はもちろん、プラント内での危険箇所の通知や、消費購買の動線を解析したマーケティング、業務改善への活用など、様々な用途での利用が期待されます。

(2015年2月10日 初稿)

English

Indoor Positioning

定義

屋内測位は、GPSや準天頂衛星といった衛星測位システムを利用できない屋内空間で、設置した送信機から発信する信号や保有する端末のセンサなどを用いて、現在位置を推定する技術です。