自律航法は、大きく分けると「モノ(車など)の自律航法」と「歩行者の自律航法」の2つに大別できます。モノの自律航法は車、船舶、航空機、ロケット等の自位置を測る手段として以前から利用されてきました。その技術が歩行者の自律航法にも応用されるようになりました。歩行者の自律航法は「PDR(Pedestrian Dead Reckoning)」とよく呼ばれます。歩行者の自律航法の研究も以前から行われていましたが、自律航法に必要となるジャイロセンサーや加速度センサーがスマートフォンに搭載されるようになったことで、実用化に向けた取り組みが盛んになっています。具体的にはジャイロセンサーや加速度センサーの値の変化を利用して、人がどの方向にどのくらい移動したのかを推定することが出来ます。
実用化されるためには、各センサーの値から「人が手に持って歩いている」「電話しながら歩いている」「ポケットの中に入っている」等のスマートフォンの状態を正確に検知することが必要であり、まだ研究段階ですが、実用化されると、衛星測位システムの電波の届かない屋内空間でも、自律航法によって自分の位置が推定できるようになり、様々なメリットが得られることが期待されています。
(2015年11月18日 初稿)