洪水避難計画

洪水避難計画では、洪水により避難が必要となる可能性がある区域を避難対象地域とし、地域内の住民が避難の際に利用する避難路や避難施設を定めます。また、洪水予報や大雨警報などの気象情報や避難勧告等の発令基準と伝達経路を明示し、危急時の早めの避難を促します。

普段から洪水発生の理由と発生時の対処の仕方を学ぶ防災教育、避難路を確認しいざと言うときに備える防災訓練の実施に関する事項が定められています。また、避難対象地域内に存在する地下街・要配慮者利用施設・大規模工場等の名称や場所を明確にして、地下街等の所有者に施設利用者の安全な避難を確保するための避難確保計画の作成を促します。

洪水避難計画の内容は、洪水ハザードマップを通じて住民に周知されるほか、地域防災計画にも反映されます。また、住民と行政が協力して計画の内容を検討することにより、住民の洪水による災害に対する啓発・周知の場となることが期待されます。

洪水避難計画は基本的に市町村単位で作成しますが、洪水が全域に広がり当該市町村だけでは、避難者を収容しきれない場合や隣接する市町村への避難の方が合理的な場合は、広域的な洪水避難計画が必要となります。計画策定に際しては、多層に渡る災害・防災情報や都市施設情報を迅速かつ正確に解析・表現できるGISの活用が有効です。

参考文献
水害ハザードマップ検討委員会(2015):ハザードマップと洪水時の避難に関する現状と課題,pp.26,国土交通省水管理・国土保全局

(2016年10月17日 初稿)

English

Evacuation plan for flood disasters

定義

洪水の際の避難対象地域・避難路・避難施設、避難勧告などの伝達方法・発令基準と、洪水の発生に備えて実施する防災教育・避難訓練の内容等を定めた住民のための円滑かつ迅速な避難が行えるようにする計画です。