避難確保計画

避難確保計画は、災害のおそれがあるときに事業所の従業員や施設の利用者を安全に避難させるための避難方法や避難場所などについて定めた計画です。河川の氾濫、高潮、津波による浸水、土砂崩れ、火山噴火などの危険がある場合は、気象庁、都道府県などから大雨、河川水位、噴火等に関する情報が発表されます。また、市町村長からは避難勧告・指示などの情報も発令されます。これらの情報にもとづいて、それぞれの事業所や施設では、自分たちの力で従業員や施設利用者を安全な避難場所に避難させることが必要となります。
平成27年の台風10号災害では、岩手県岩泉町で介護老人保健施設の近くの川が氾濫し、避難が遅れた9人の高齢者が死亡する被害が発生しました。その他の災害においても、高齢者などが入所する施設で土砂災害や水害による被害がたびたび発生してきました。
このような犠牲をなくすため、水防法、土砂災害防止法等が改正され、河川の氾濫、津波、高潮などによる浸水や土砂災害が想定される地域の要配慮者利用施設(社会福祉施設、学校、医療施設等)、地下街等では、施設管理者(責任者)が避難確保計画を作成することが義務付けられました。
一方、平成26年9月に長野・岐阜県境の御嶽山の噴火では、火口周辺で多数の死者・負傷者がでる被害が発生しました。このため、活火山法の改正により、登山者や多数の住民等を避難させるため集客施設等においても、施設管理者が避難確保計画を作成することが義務付けられました。

参考文献
国土交通省(2017):水防法・土砂災害防止法の改正~要配慮者利用施設における円滑かつ迅速な避難のために~
岩手県(2016):台風10号被害への対応について
内閣府(2016):集客施設等における噴火時等の避難確保計画作成の手引き

(2017年10月4日 初稿)

English

Evacuation securing plan

定義

災害時に事業所の従業員や施設の利用者を安全に避難させるために、避難方法や避難場所などについて定めた計画です。