洪水ハザードマップは、堤防が洪水によって壊れた場合に浸水する範囲と深さが示された浸水想定区域図をベースにして、洪水による人的被害を防ぐために作成されます。浸水想定区域図は、河川を管理している国や都道府県が作成します。洪水ハザードマップは、浸水想定区域の他、浸水時の安全かつ素早い避難が行えるようにするための避難情報が掲載された図面で、浸水想定区域が存在する区市町村に作成が義務付けられています。
洪水ハザードマップを作成する際に浸水想定区域は、住民が自分の住宅を戸々に識別し、避難経路を自身で判断できるように、縮尺1/10,000~1/15,000程度の地図上に浸水する深さのランクに応じて色分けして表示します。この他、地図には、避難場所、アンダーパスや土砂災害危険箇所等の避難時危険箇所といった避難情報を表示する他、地図が分りやすくなるように鉄道、主要な道路、公共施設等を強調して表示します。さらに、大雨警報や避難指示の伝達方法、避難の際の持出品や注意点等の避難に関係する情報を掲載します。
地球温暖化の影響により集中豪雨が増加し、台風が大型化する傾向が指摘されています(気候変動に関する政府間パネル第4次評価報告書,2007)。このような中で、堤防や排水施設などの既存のハード対策だけに頼るのではなく、ソフト対策のひとつとして、洪水ハザードマップを作成して、普段から住民がこれを見て、浸水による危険性を認識し、いざという時に的確な避難行動がとれるようにしておくことが重要です。
(2015年01月26日 初稿)