昭和30年代から昭和40年代初期にかけて、大都市中心部への人口集中が深刻な住宅難をもたらしたため、周辺部が急速に宅地造成されました。東北地方太平洋沖地震等の際には、開発された盛土造成地において、崖崩れや土砂流出による災害が発生しました。
盛土造成に伴う災害の発生を防止するために、都道府県知事等が造成宅地防災区域を指定することができます。この区域に指定されると、造成宅地の所有者は、災害防止のための対策を実施する必要があります。
造成宅地防災区域を指定する際には、大規模盛土造成地の有無を確認するための調査を行います。調査は、現在の地形図と宅地造成が行われる以前に作成された地形図の標高を比較することによって行われます。調査によって、抽出された盛土造成地のうち一定規模以上のものが大規模盛土造成地となります。古い地形図が存在しない場合には、過去に撮影された航空写真を使用して作成できる可能性があります。
大規模盛土造成地マップは、縮尺1/10,000程度の地形図上に大規模盛土造成地の位置を表示した図面です。この他、盛土造成地における災害の事例、防災工事の概要などを掲載します。この図面は、このような情報を住民に提供し、宅地造成に伴う災害に対する理解を深め、防災工事を実施するために協力を得ることを目的として作成します。
参考文献
- 大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン及び同解説 平成27年5月 国土交通省
(2015年11月18日 初稿)