測量や地図作成を行う上では、基準となる面を設定することが必要になってきます。しかし、地球には大小さまざまな山・谷・海溝などの局所的な地形の凹凸があり、このような地形の凹凸を忠実に表現した複雑な曲面を基準面とすることは実用的ではありません。
そこで、さまざまな凹凸がある地球を何らかの簡単な曲面で近似する方が望ましいと考えられています。地球の第1次近似は球ですが、精度の面では小縮尺の地図にしか適用できません。地球は自転をしているため完全な球ではなく赤道方向に少しだけ膨らんでおり、地軸(極軸)を短軸とする楕円を、地軸を回転軸として回転することによってできる立体図形に近い形をしています。これを回転楕円体と呼び、大縮尺の地図作成や測量に適用するのが回転楕円体近似です。
現実の地球の形状(ジオイド)を最も良く表現している回転楕円体を地球楕円体としています。できるだけシンプルに地球の形を表現するために、基準となる面を数学的な回転楕円体モデルから考えたものが地球楕円体です。また、地球楕円体にはいくつかのモデルが存在し、現在最もよく使用されているものは赤道半径(長半径)が6,378,137m、極半径(短半径)が6,356,752mの「測地基準系1980(GRS80)楕円体」で、日本の測量や地図作成の基準となっています。
(2019年05月17日 更新)
(2015年11月18日 初稿)