AI画像処理とは、人工知能:Artificial Intelligenceによりデジタル画像を扱うことを指し、これには「写真から犬猫を見分ける」から「文章からイラストを生成する」まで幅広い内容が含まれます。一方、地理空間情報分野の文脈においては、航空・衛星写真やカメラ撮影画像、衛星SAR、DEMなどの二次元数値データ等をもとに、これまで人が行っていた判断をAIに代替させる意味で用いられる場合が多くあります。
具体的な用途として、例えば以下のようなものがあります。
・航空写真を元に道路や建物などを検出して2D地図を作る
・レーザー点群や複数視点からの写真などを元に3D地図を作る
・UAVから撮影した画像を元に、建造物の劣化を検出する
・衛星画像から農作地の生育状況をモニタリングする
これまでは人手に頼る他なかったこれらの作業が、こんにち機械で補助・代替されつつあり、地理空間情報をより詳細・リアルタイムに得られるようになることが期待されます。
しかしどれほどAIが発達したとしても、その判断基準、教師となる情報は人が与えるものであり、AIが出力した結果については人が判断し責任を持つべきものです。一見知能のように見えても、AIは統計学的な観点からデータを分類処理しているに過ぎないためです(C.M.ビショップ, 2006)。
特に地図の誤りは重大な事故にも直結しうるものであり、「最新のAIが判断したのだから正しい」と、全面的にAIに判断を委ねるのは大変危険なことです。AIによる補助は享受しつつも、AIの仕組み、限界、危険性などを理解したうえで利用する姿勢が大切です。
[参考文献]
- C.M.ビショップ, 元田浩他 (2006) パターン認識と機械学習 上, pp.37-45
(2023年6月30日 初稿)