建設工事で地質リスクが現れてトラブルとなった場合、建設コストや工事の期間に大きな影響を及ぼします。
建設事業で地質リスクが現れたトラブルの例として、以下のようなものがあります。
事業 |
地質リスクが現れたトラブルの例 |
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道路・鉄道事業 | 切土のり面のすべり破壊や豪雨時の崩壊、盛土施工後の基礎地盤の沈下、橋梁建設時の橋脚・橋台基礎の沈下・傾斜、など |
河川・海岸事業 | 堤防の漏水や堤体及び基礎地盤の液状化、河川・海岸施設の地震時の損傷、など |
砂防事業 | 地すべり対策工の変状、想定以上の規模の土石流の発生、など |
建築 | 建物の不同沈下、地下掘削時の周辺地下水位の低下、など |
そこで、近年、出来るだけ事業の早い段階で地質リスクを洗い出して、事前に地質リスクを回避する対策を設計段階から盛り込むような対応が考えられています。具体的には、通常の地質調査とは別に「地質リスク調査検討」等を事業の初期段階で実施することが始められています。
「地質リスク調査検討」では、対象とする事業で予想される地質に起因するリスクの影響度(損失量)と、リスクが現れる可能性の高さ(発生確率)を予測して、各々のリスクを低減または回避するための方策を検討します。その結果、予想されるリスクの大きさは、「予想される損失量×発生確率」として示されますが、損失量を事前に定量的に求めることは困難なため、リスクの点数化やランク区分を行なうことにより、事前の措置(対策)の必要性を評価しています。
参考文献
2016 改定:地質リスク調査検討業務発注ガイド 平成28年9月 (一社)全国地質調査業協会連合会
(2016年11月04日 初稿)