降雨が地下に浸透した水が地下水となって、地中を流動します。地下水の流速は概ね10cm/dayオーダー(第四紀層中の地下水の場合)と非常に遅いものの、広大な面積と深度の中に賦存するので、貴重な水資源として各地域で利用されています。しかしながら、集中的な地下水利用は、地盤沈下などの問題を生じさせます。また、建設工事では、地下水対策が非常に重要となります。
地下水面の例として、地表から地下ダムの止水壁のところまで掘削した見学施設の写真を示します。地下水は文字どおり足元に賦存するため、このような特別な施設がない限り、直接見ることは困難です。そこで、多くの場合、地中に井戸などの孔を設けて、孔の中の水位を調査します。また、地下水の大元である降水、浸透に関わる地表の土地利用、地下水の流れを規定する地質構造や地層の物性、水質、地下水利用などについて、地質調査技術や物理探査技術、分析技術などを使って調査します。その結果をもとに、地下水が賦存する地質構造の形状と地下水位分布などを網羅した水理地質構造図を作成します。水理地質構造図は、地下に賦存して見えない地下水の特性を評価・分析したものです。これをデータ化し、コンピュータで地下水の流れや水質を計算します。いろいろな条件を与えることで、今後生じるかもしれない様々なことを、予測することができます。
このように、地下水の調査・解析とは、現地調査から数値解析まで様々な技術を駆使した総合的な技術と言えます。地球温暖化により雨の降り方が変わるとされています。今後、地下水の重要性はさらに高まると思われ、この技術をさらに高度化していくことが必要です。
(2019年05月10日 更新)
(2014年12月22日 初稿)