地下水の流れをせき止めるために、地表から、帯水層の底面にあたる基盤岩まで、止水壁を設けます。止水壁の築造には、グラウト工法や地中連壁工法など、複数の方法があります。
地下ダムによって、地下水位の低い地域では地下水位が上昇しますので、その分、利用できる地下水の量が増えます。また、海水が浸入している地域では、塩水化を防止することで、それまで利用できなった地下水を利用することができます。
地下水は、帯水層の中を流動しますので、効率的に地下水を貯めるためには、帯水層の透水性が大きく、さらに、帯水層の底面に当たる基盤岩が、谷や窪地のような形をした地質構造の地域が、地下ダムの適地とされています。
国内では、沖縄県の沖縄本島(米須地下ダムなど)や宮古島(福里地下ダム(図―1)など)、鹿児島県の喜界島(喜界地下ダム)などで地下ダムが建設されています。新たに利用できるようになった地下水は、地域産業などの重要な水源となっています。
言うまでもなく、水は私たちの生活、産業、そして環境全般にとって、不可欠です。21世紀は水の世紀といわれています。地下ダムに係わる技術は、遮水壁だけでなく、地質、地下水、利水など、多岐に渡ります。これらの技術は、今後の水資源の安定的な確保のために、ますます重要になっていくことと考えます。
参考文献
内閣府沖縄総合事務局農林水産部HP 2016年9月29日
公益社団法人日本地下水学会(2011): 地下水用語集、pp43,67、理工図書
(2016年10月26日 初稿)