海底面状況調査は、主に、サイドスキャンソナーという機器を用いて行う調査であり、「海底における航空写真」のような音響画像が取得できるものです。海底の状況を調べる他の方法には、潜水士や水中ロボットカメラ(ROV)による目視観察やマルチビーム音響測深機による面的な海底高計測などの手法がありますが、サイドスキャンソナーを用いた調査ほど広範囲に海底状況が把握出来る調査はありません。
計測原理としては、海底面で反射した音波の散乱状況を利用します。具体的には、音波がサイドスキャンソナー・トゥフィッシュより連続して発信され、海底面で反射し、またトゥフィッシュで音波を受信します。この結果、受信した音波の散乱状況の強弱で海底状況の判別を行い、底質の分布状況や海底の起伏を調べることが出来ます。例えば、砂や泥などの場合は、音波の散乱が弱いため淡い記録として表現され、岩や石(コンクリート)の場合は、音波の散乱が強いため濃く表現されます。
近年では、水深記録を同時計測することにより、海底を視覚的な立体地形としてあらわすことが可能となりました。また、広範囲で計測できるメリットを利用した藻場の分布状況調査も行われるようになっています。今後は、従来から行われていた底質の判別や魚礁、海底ケーブル、パイプラインなど海底敷設物等の維持管理などの利用だけではなく、藻場の判別などの環境面等の多方面での利用が期待されます。
(2015年11月18日 初稿)