ROV

ダイバーによる水中作業には、環境調査での底質採取や生物観察、港湾工事での石積み、海底整地、沈没船での人命救助などがあります。しかし、水中作業は、光が届かない環境下で水圧による潜水病のリスクなどがあり、潜水深度・潜水時間等に厳しい制約が課せられています。このため、ROVは、安全かつ効率的に作業ができるように、対象水深や作業用途によって大きさや重量・装備など様々な開発が進められてきました。

具体的には、水深5,000mまで潜航して海底のサンプルを掘削・採取する資源探査用の重量タイプから水深100m以浅でサンゴや魚礁を海底観察する軽量タイプまでが使用されています。主な機器としては、作業艇(水中ロボット)を移動・姿勢制御するスラスター(人の足の役割)と呼ばれるプロペラや、ビデオカメラや音響ソナー等のセンサー(人の視覚の役割)が標準的に装着されています。さらに、海底掘削、水中構造物を建造するROVには、人の腕・手の役割を果たすマニピュレーター(ロボットアーム)がオプションで装備されます。

ROVは、母船と作業艇をケーブルで繋ぐため、各装置への電源供給や遠隔操作が可能であり、長時間海底で作業を行う事ができます。今後、ROVは、港湾施設の点検と維持補修及び海洋環境の保全に加え、大きな自然災害の迅速な復旧・復興、津波および地震対策、海洋エネルギープラントの建設、海洋資源調査などに大きく活用されることが期待されています。

(2015年11月16日 初稿)

English

Remotely Operated Vehicle

定義

ROVは、Remotely Operated Vehicleの略語で、母船からケーブルでつながっている遠隔操作式水中無人作業艇(ロボット)です。この技術は、大陸棚における石油、ガス産業での油田、ガス田の開発を目的に発達してきたもので、日本での最新機は、海洋研究開発機構が開発した最大潜航深度7,000mとなっています。