DGPS(ディファレンシャルGPS)

注)海上保安庁は2007年にDGPSの運用を開始しましたが、2019年に運用を停止しました。
理由としては、運用開始当初はGPSの精度が悪く、精度向上のためにDGPSを導入したのですが、その後、GPSをはじめとするGNSSの精度が格段に向上し、役割を終えたことなどがあげられています。
詳しくは参考文献として示した海上保安庁の文書を参照してください。
なお、以下には参考のため、運用当時の説明を示します。

[参考]

GPS(Global Positioning System)とは、アメリカ合衆国が打ち上げた人工衛星からの信号を元に位置情報を測位する手法で、民間でも広く利用されています。しかし、その測位誤差は約10mもあり、車や船舶などの移動体のナビゲーションをする際には全く違った場所を表示することもあります。

Differential GPS方式は、GPSの測位精度を向上させるための方式であり、2つのGPS受信機が取得する測位情報が同じ誤差を持っていることを利用しています。その方法は、基準局(位置座標が正確に判明している点)に設置したGPS受信機が取得した測位情報によって得た誤差を補正情報として発信し、移動局(計測点)で受信し、取得した測位情報に誤差を補正するもので、1m程度まで測位精度を向上させることが可能です。図1にDGPS方式のイメージを示します。

日本では海上保安庁が全国に設置するDGPSの基準局から中波帯の電波により補正データが発信されており、ほぼ全国の海上でDGPS方式での観測が可能です。ただし、海上保安庁では航行船舶の安全を確保することを目的としているため、DGPSの基準局は沿岸部に設置されています。そのため内陸部においてはビルや山などの障害物の影響等で中波帯の電波による補正データを受信できない場合があります。

しかし、近年ではひまわりなどの静止衛星からも補正データを発信しており、その補正データを受信することにより、どこでも1m程度の測位が可能となっており、DGPS方式は工事や測量といった場面でも広く用いられています。

図1 DGPSイメージ図

(参考文献)
海上保安庁:ディファレンシャルGPSの廃止について.平成29年6月30日.
https://www.kaiho.mlit.go.jp/soshiki/koutsuu/dgps/haishi.pdf  2020年12月1日閲覧

(2020年12月07日 更新)
(2015年11月14日 初稿)

English

Differential Global Positioning System

定義

DGPSとはDifferential Global Positioning Systemの頭文字をとったものです。基準局(位置座標が正確に判明している点)におけるGPS測量によって得た誤差を補正情報として用いることにより、計測点の測位精度を向上させる測位方式のことをいいます。
注)DGPSは海上保安庁により、2007年より2019年まで運用されましたが、現在は運用停止となっています(詳細は本文を参照ください)。