土砂災害予測

土砂災害は毎年のように全国各地で発生しており、平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害や、平成25年台風26号による伊豆大島の土砂災害では、多くの犠牲者が生じました。このような土砂災害の恐れのある箇所(土砂災害危険箇所)は、全国に約46万箇所あります。膨大な数の土砂災害危険箇所の全てに対策施設を整備するには、多大な時間と費用を必要とします。このため、土砂災害から人命を守るためには、対策施設の整備に加えて、災害が起きる前に避難することが重要となります。土砂災害予測は、災害からの事前避難をサポートするうえで欠かすことのできない重要な技術と言えます。

土砂災害の予測手法として代表的なのは、降雨量を用いるものです。これは、過去に土砂災害が発生したときの雨量と発生しなかったときの雨量の境界を見出すことでクリティカルライン(以下、CL)を設定し、2~3時間先の降雨量がCLを超えると予測される場合に土砂災害が発生すると判定するものです。この方法は、現在運用されている「土砂災害警戒情報」でも用いられています。

近年では、ピンポイントで斜面崩壊等の危険度を判定する力学モデルを用いた手法や、検知センサーを用いて斜面の変状を直接的に監視する手法、ソーシャルメディア情報のリアルタイム分析により予兆を検知する手法など、高度な予測手法についても研究・開発が進められており、今後の実用化が期待されています。

(2015年11月18日 初稿)

English

Prediction of sediment disaster

定義

土砂災害予測は、行政の避難指示や住民自身が身を守る行動を起こすための判断材料となるものであり、災害から人命等を守るための最も根幹的な技術の一つです。