主題図

地図は一般図と主題図に分けることができます。一般図は、広範な利用を目的として作成される地図で、土地の標高、起伏、凹凸などの地形や、工作物、植生、土地利用、景観などの地形以外の有形物、地名、行政区域の境界などの無形物など、地表の様々な自然や人文の諸事象が、特に特定の事象に重点が置かれることもなく、縮尺に応じて平均的に描かれています。これに対し、主題図は、特定の利用目的に対して作成される地図で、特定の事象について詳しく描き表されています。

主題図は、地籍図や海図などの特定の主題図を除けば、実測図として作成されることはほとんどなく、地形図等の一般図を基図として、これに特定の情報を付加し、利用しやすいように編集して作成されるのが一般的です。付加する情報は、現地調査や空中写真判読、あるいは各種統計資料、官公庁が保有する台帳等の資料、文献、地図などの既存の資料から収集され、整理・分析されたうえで、基図上に特別な記号や色彩などで図示されます。なお、白地図や行政界図などを基図として作成される各種の統計地図も主題図に含まれます。

主題として採り上げられる項目は、土地利用、土地分類、防災、植生、地質、鉱物、土壌、経済、人口等多岐にわたります。代表的な主題図としては、国土地理院が作成している土地利用図、土地条件図、地形分類図、産業技術総合研究所地質調査総合センターが作成している地質図、海上保安庁水路部が作成している海図などがあります。

(2015年11月18日 初稿)

English

Thematic map

定義

地図を一般図と主題図に分けた場合、一般図が対象地域の状況をどちらかといえば網羅的に表現し、汎用的な性格をもつ地図であるのに対し、主題図は特定の事象を中心に表現し、その結果利用目的が比較的限定される地図です。主題図には非常に多くの種類があります。土地利用図、地質図、地形分類図、土壌図、植生図、都市計画図、地籍図などが代表的な主題図です。