三辺測量

光波測距儀により相対精度で100万分の1程度の測距が実現され、トランシットによる測角の精度に比べて約1桁高い精度の測距が可能となりました。光波測距儀による測定作業は極めて容易であり、測定可能な距離が数十kmに及ぶ機種も現れました。また、同時期にはコンピュータの能力が向上し、大規模の網平均計算が可能になってきました。これらのことより、従来三角測量で行われてきた高精度の基準点測量が三辺測量で行われるようになりました。

1974年から始められた第三次基本測量長期計画では、従来の三角測量方式をやめて、三辺測量方式に基づいた精密測地網測量が採用されました。このとき、従来の一、二等三角点を一次基準点と呼び、三等三角点を二次基準点と呼ぶことになりました。

三辺測量は概ね三角測量と同じ作業手順で行われます。三角測量と異なる点は、測定する対象が異なる点です。三角網の形と大きさを決めるため、三角測量は三角形のすべての内角と1つの基線の距離を測定しましたが、三辺測量は三角形のすべての辺長を測定します。ただし、座標系における三角網の位置と方向を固定するため、1点1方位(1つの測点の座標と、その点より他の測点に至る辺の方位角)を与えることは、三角測量と同じです。なお、実際の三辺測量では、測角も行い、測距測角の観測値を合わせた調整計算を行うのが一般的です。

光波測距儀による三辺測量は、GPS測量が普及するに従い、基準点測量ではほとんど行われなくなりました。

(2015年11月18日 初稿)

English

Trilateration

定義

三辺測量は、基準点測量の測量方法の1つで、既知点を含む測点により三角形を構成し、三角形のすべての辺の長さを測定することで、測点の水平位置を決定する測量です。広い範囲に精度の高い基準点を設けるために最も適切で確実な方法の1つです。光波測距儀が実用化されたことにより、三角測量に取って代わって基準点測量の代表的な測量方法になり、わが国でも1970年代には三角測量に代わり三辺測量による精密測地網測量が行われるようになりました。